北原：前職はプロダクションにいて、デザイナーとしてパンフレットやWeb、広告などさまざまな制作を担当していました。キャリアの後半は、アパレル系のデザインの仕事が多かったですね。ちなみに、新卒当時はSEで、メーカーの情報システム部門に配属され、大規模なECの開発や運用を任されていました。

北原：仕事のキャリアを重ねる中で、ほかにも面白いことをやってみたいという好奇心からエージェントに登録してみたんですよ。そこで読広クロスコムとの出合いがあって、担当者と話をしてみたら、すごく楽しそうな会社だなあと。その前は制作一辺倒だったのが、ただつくるだけじゃなく、つくったものを〝誰に・どのタイミングで・どんなチャネルを使って〟伝えるのかといった戦略的なコミュニケーションまで考えられるというところに興味を感じて転職を決めました。

北原：PRの視点というか、世の中との関係性づくりを軸にしつつ、広告やイベント、SNS、動画など、あらゆる手法を組み合わせて企画・実行するのが自分の役割だと思っています。ひと言であらわすと「プロモーションのプロデュース」ですけど、ディレクターとして動くときもあれば、営業的に立ち回るときもあり、カメレオンのように臨機応変にやっています（笑）。

北原：カメレオン的に動くのは対クライアントさんだけではなく、身内でも、何が足りていないのか考えて、そこを埋めるように動くことを意識しています。たとえば、コミュニケーションを考える人がいなければそちら。テクノロジーを検討する人がいなければそちら。イベント業務管理者がいなければそちら･･････というように、適宜柔軟に自分の体勢や重心を変えていければと思っています。

北原：営業担当者が聞いてきた話を鵜呑みにしない（笑）。

北原：話の入口こそPRだったり、広報だったりするんですが、提案を進めていくと、「実はイベントの運営管理を相談したかった」「CI（VI）を変更したい」なんてことも結構あるんですよ。オリエンでそこに気づくこともあれば、だんだん話がかみ合わなくなってきてようやく「PRじゃなかったんだ」と思うこともある。だからこそ、直接クライアントさんの話を聞いて、さらに深掘りするまでは、課題とされているものを決めつけない、思い込まないということを心がけています。

北原：もちろんそうです。ですから、クロスコムとしては一人で読広の営業担当者と動いて、話が軌道に乗ってからスタッフィングするケースは多いですね。いわゆる切り込み隊長ってやつです。大変ですが、逆にそういう役回りをできる人が増えてくれば、会社としても新しい仕事の獲得につながっていくと感じているので、みんなにもまねしてもらえる〝型〟のようなものがつくれたらいいですね。

北原：たとえば、お菓子のPRでプロモーションを実施したとして、予想外の展開が起きることですかね。こちらの狙い通りに形になる楽しさもありますが、外的要因や関わる人によって思わぬ変化が生まれて、それが新しい広がりにつながる。多くの変数があるほど、変化や進化が生まれる点が魅力だと感じています。たとえば、「まさかこんな人たちにウケるとは思わなかった」「そんな使われ方をするとは思わなかった」というのがやっぱり面白いんですよね。それと、最近、特にいいなあと感じるのは、仕掛ける側の制作チームやクライアントさんの意識や感覚が変化していく瞬間です。最初は受け身だった担当者が世の中の反応を見て目の輝きが変わり、主体的に動き出したりする姿を見ると、こちらも感動するんです。成果が世の中に広がることも嬉しいですが、それ以上に、身近な人たちの成長や変化を見られることにやりがいというか、喜びを感じるのかもしれません。

北原：一人で仕事を抱えない。自分よりできる人に甘えること。できないことをがんばって何日もかかるぐらいなら、得意な人に預けて想像以上の結果を出してもらいながら、自分は別のことをする･･････かな。20代、30代の前半ぐらいまでは、むしろ人に頼らず、がむしゃらにやったほうがいいだろうし、それを自分が経験していくことが大事だと思うんですよ。でも、リーダーとか、プロデューサーとかになってくると、未経験のことをフィッティングしている場合でもないというか。時間効率と生産性を考えると、それが最大限のパフォーマンスを発揮できる手法じゃないかと思うようになりました。

北原：家事はやりますね。やらざるを得ないことなので。でも、洗濯は割と好きで、洗剤や柔軟剤をいろいろ試して、襟袖の汚れが落ちるのはこの組み合わせだとか、干し方によってここまで乾きやすくなるとか、実験要素があるのが面白いです。自分がベストだと思っていた商品が廃盤になったとしても、意図せず起きることで新しい商品との出合いもあり、仕事に通じる面白さも感じています（笑）。完全に仕事を切り離し、気持ちをリセットしたいときは屋上で風を浴びながらお酒を飲む。かなり幸福感を得られます！

北原：数多くのPR案件に取り組んで、より実感したこととして、社会課題と企業課題の接点を見つけ、それを通じて人々の意識や文化を変える芽を一つでも多くつくりたいですね。大きいことを言えば、「働き方改革」のように、誰かの小さな行動が常識や文化になるような変化を起こしたい。そのためにも、受け身ではなく、自ら営業担当者に逆営業をかけるぐらい主体的に動くことが重要だと考えています。